七福堂製菓の誕生

七福堂製菓が誕生したのは、1965(昭和40)年。父が20歳のときのこと。

それまで東京のあられ屋に修行に行き、技術を積み重ねた上で、再び五個荘へ戻り選んだ選択肢は商売の道でした。

当時から、使用する原料のもち米は"滋賀羽二重糯"(しがはぶたえもち)のみ。父いわく「食べたときに、もち米の味がすっと鼻から抜けるのが本物」とのこと。その言葉通り、素材へのこだわりは、創業当時から今もなお受け継いでいる思いです。

壹分金誕生。名誉金賞を受賞。

「田舎あられ」から始まった七福堂製菓。田舎あられは、製造工程に「焼き」が入る商品です。新たな商品開発につながるきっかけは、父の好奇心だったといいます。「油に入れたらどうなるだろう?」と思い、実践してみたところ、想像以上に大きく膨らみ、面白いことに。食べてみたところ、とても美味しい。これが、現在の一番人気「壹分金」の原型です。

1973(昭和48)年、鹿児島にて開催された「第18回全国菓子大博覧会」では、名誉金賞を受賞。滋賀県内を中心に、地元のスーパーや問屋に商品を配送する日々が続きます。

2代目就任。
これまでとこれから。

創業から50年を目処に、廃業を予定していた父。しかし、家族や取引先、周囲から発される「この味をなくしてはいけない」との熱意を受ける形で、娘が後継者となることを決意。2015(平成27)年、2代目が代表に就任。

子どもの頃からずっとみていた仕事であり、ある程度は、わかっていたつもりではありましたが、いざ現場に入ると全く違います。基本は、体力仕事。機械の不具合も、ちょっとしたことであれば、自分で直すスキルも必要です。原料の仕入れ、試作、従業員の方の雇用なども含め、時間をかけて受け継いでいます。

就任後、新しくつくった商品が「味山椒」です。きっかけは、お客さまからいただいた「胡椒や一味、唐辛子、柚子胡椒のような、ピリッと刺激のあるものをつくってほしい」とのオーダー。近くの調味料製造会社の調味料を使用し、試行錯誤の上、誕生しました。

2018(平成30)年8月には、東京ビッグサイトにて開催された「アグリフード東京2018」に出展しています。全国のバイヤーの方から、味に加え「滋賀県内のみの販売」「滋賀県産の材料を使用」といった点からも興味を抱いていただき、現在では、大手スーパー、デパート、小売店を含め、関東方面への販路が広がりつつあります。